男性の育休取得には「昇進や昇給の不安」がある

今では「イクメン」の認知度は9割を超えるとも言われ、男性が育児をすることは当たり前、という見方ができているが、2000年当時、男性が育児をするというと「そんなものは嫁さんに任せればいい」という発言が当たり前にされていたのが実情だ。

管理職や祖父世代を当時の50~60代とすれば、1950~60年代生まれにあたり、まさに家父長制から勤労男性+専業主婦の構造で育てられ、自らもこの文化で育児をした世代である。このような発言が出てしまうのも無理はない。

『ポストイクメンの男性育児-妊娠初期から始まる育業のススメ』(著:平野翔大/中央公論新社)

ゆえにこの時代の「イクメン」たちは、上の世代の否定的感情が強い中で男性育児に市民権を得るため、相当な努力を要したと考えられる。

男性育児をポジティブに捉えるためには、「男性の育児が良い・素晴らしい」という発信が必要であり、そのためにはむしろ「母親と同等、ないしそれ以上に育児に良い影響をもたらせる」、つまり「性差を乗り越える」ことを要求されたのではないだろうか。

当然その裏には仕事における犠牲や、キャリアの断念を伴った男性も少なくないと考えられる。

2007年の男女雇用機会均等法改正により、両性に対して妊娠や出産を理由とする不利益取り扱いは禁止されているため、表面上は男性が育児をすることでキャリアに影響があってはならない。

しかし2020年以降であっても男性の育休取得における心配として、「昇進や昇給の不安」が多くのアンケート調査などで上位に出てくることは、この実態を表していると考えられる。