女性にしか用いられない「バリキャリ」という言葉

このことは女性の社会進出において、逆の問題が指摘できる。

「バリキャリ=バリバリ働くキャリアウーマン」という言葉は当初から女性にしか用いられていない。

男性がバリバリ働くことは当たり前であり、女性がバリバリ働くのは特殊だったのである。

むしろ女性で収入を上げ、昇進しようと思えば、仕事での成果も出しつつ、化粧やお酌といった「女性らしさ」も同時に求められていた。

２０１５年に発生した大手広告会社の女性新入社員の自死事件においても、長時間労働と同時に容姿などに言及したセクシャル・ハラスメントがあったことが指摘されているように、「女性らしさがあり、仕事もできる」ことで初めて会社で認められる、という状況だった。

つまり女性が社会進出をする際には、「女性らしさや育児と仕事の成果を両立」させるか、「育児や結婚を捨てて、仕事の成果を実現」させるかに限られていたのである。