「イクメン嫌い」の表面化

これを男性にあてはめれば、社会から育児に進出するにあたり、「両立しつつ母親と同様かそれ以上の育児をする」ことが求められ、実現できないのであれば「仕事のキャリアを捨てて、育児を優先」することが求められた、と解釈できる。

実際にこのような文化を反映する結果が、「イクメン」ブームから約10年後、2019年に行われた朝日新聞「父親のモヤモヤ」のアンケート*1に示されている。

このアンケートでは、「『イクメン』どう思う?」という質問に対して「嫌い」「どちらかといえば嫌い」が75%を占め、「好き」「どちらかといえば好き」と答えたのは10%を下回った。

男性は「両立疲れ」や「特別視・アピール」に対する嫌悪感、女性は「育児は母親という固定観念」に対する嫌悪感などから来る、いわゆる「イクメン嫌い」が表面化した。

特に自由記述に挙げられていた、『仕事に縛られざるを得ない自分からすれば、家庭に対する義務感が際立つ、非常に迷惑な言葉(30代男性)』という回答は、「キャリアと育児双方への過度な要求に対する男性の嫌悪感」そのものではないだろうか。

*1 AERA dot.「イクメン「嫌い」が7割超 衝撃的結果の背景から見えた“違和感”の正体」
https://dot.asahi.com/dot/2020101600067.html 2022/10/19