手前左から瀬戸内の鯛、長崎は五島列島の〆鯖、隠し包丁を入れたスミイカ、冬から 春にかけてが旬の赤貝、対馬の穴子。奥左から本鮪の中トロ、ねかせて旨味を引き出したコチ、本鮪の赤身。取材日は京都の伊根であがった鮪。玉にねぎトロ巻き。奥は梅干しの茶碗蒸しと味噌汁。店ではカウンターで1貫ずつ提供される。巻物はその時々で替わる

伝統的な調理法で素材の味を最大限に引き出して

東銀座は歌舞伎座の裏手。うっかりしていると見過ごしてしまいそうなほどさりげない佇まいを見せる「鮨ふじ田」。オープンして9年、変わらぬ味と値段で根強いファンを持つ一軒だ。

「今年の1月、開店して初めて値上げしました」と語るご主人の藤田真一郎さんは、大衆店から銀座の高級店まで幅広いキャリアを持つ実力派。

最後は恵比寿のウェスティンホテル東京の鮨料理長まで務めたその腕を、ここではランチ5000円~、夜でも1万6000円~で披露。高騰化が続く昨今の鮨業界にあって、嬉しい一軒だろう。

それも、若い人たちにもっと手頃に鮨を楽しんでもらいたいとの思いゆえ。写真のランチセットも、握り9貫に巻物、さらに茶碗蒸しや味噌汁がついて5000円。

ピンの食材は使わずとも、江戸前鮨は、締めたり煮たりの仕事が命。塩と酢で締め3日がかりで仕込む小肌や鯖など一手間かけた鮨だねが秀逸だ。

また、鮨の要の鮨飯にも白酢と赤酢の2種を用意。鯛など淡白な魚介には白酢の酢飯、鮪のような味の強いものには赤酢の酢飯、と使い分けている。

【テイクアウト】お土産の折リは6000円からで、写真は6000円のもの。京都伊根産本鮪の大トロと赤身に2日間ほどねかせたヒラメ、島根産鰤や富山の白エビ、3日間かけて仕上げる小肌、ねっとりとした甘みのアオリイカ、長崎対馬の穴子、北海道浜中のウニの9貫に玉とかんぴょう巻き。歌舞伎座の幕間のお弁当としてテイクアウトしても。太巻きもある。できれば前日までに予約を