文化系だった私も運動するように

いまでこそ趣味は読書くらいですが、これでも「ヨタヘロ期」になるまでは、外に出かける趣味も相応に持っていました。なにせ高校・大学時代は混声合唱団で美声(自分ではそう思っています!)を張り上げていた音楽好き。連れ合いが元気だった頃は、1年間必死でお金を貯めて、ウィーンまでニューイヤーコンサートを一緒に聴きに行ったこともありました。日本でも、オペラ好きの年上女性の肝煎りで、海外からの「引っ越し公演」を10人くらいで観に行ったり。終演後、興奮冷めやらぬなか、ああでもないこうでもないと感想を言い合うのも楽しい時間でした。

ところがある時期、4歳ほど上だったそのオペラの先達が、「もう行けないわ」と言い出しました。オペラは1幕が長く、45分や50分かかることはざら。その間、お手洗いが心配だし、長時間座っていると腰が痛くなってつらい、と言うのです。そんなわけでメンバーが年齢を重ねるにつれ、観劇の会は自然消滅することに。

趣味にも、老いは忍び寄ってきます。かくいう私もしかり。「昔とった杵柄でいらっしゃいよ」とコーラスの会に誘われても、しょっちゅう転ぶヨタヘロ期の私には、趣味のために外出すること自体、ハードルが高いのです。とくにお出かけ型の趣味は、いずれ断念しなくてはいけない時期が来ます。そんなとき、残るのは家の中でできること。私の場合は病に臥せっていた少女時代同様、読書と猫が日々に潤いを与えてくれているというわけです。

最近は若々しくてアクティブなシニアが増えていますね。お出かけしたり運動したりして過ごすのは、すばらしいことです。そうしたライフスタイルを一日でも長く続けられるよう、元気なうちから想像を巡らせておくのも、大事かもしれません。

そこで私の体験から来る提案です。とくに文化系だった人、運動をしてこなかった人は、元気なうちに趣味活動のひとつをゆるやかな体育会系に変えたらどうでしょうか。学生時代からずっと私の余暇活動はいわゆる文化系だったので、コーラスや観劇、音楽会も──それらがほとんど不可能になりました。そこで一念発起。ヨタヘロの進行になるべく抗うべく、「趣味費」にあたるお金を個人指導のリハビリに充てています。かかとの上げ下げエクササイズをしたり、自分なりに奮闘しているのです。

年を重ねたら、趣味の一部は体育会系に。だって体は、命を載せて運んでくれる器なのですから。