自分で鍛える非認知能力

まずは非認知能力がどんな能力か。君たちが学校を出て社会で活躍する時にとても大事な能力になります。認知能力は模倣が基本で、すべて教えられます。数学的思考力、それから言語能力、この二つが学校で教える時間割の最終目標になります。非認知能力の特徴は、教えられないということです。たとえば自己認識をするには、君たち一人一人がアイデンティティを見いだすことが必要ですが、お父さん、お母さんにもそれを教えることはできません。

『伝説の校長講話――渋幕・渋渋は何を大切にしているのか』(著:田村哲夫/聞き手:古沢由紀子/中央公論新社)

自分で分かろうと努力しなければならないのです。忍耐心や自制心も自分で意識して鍛える必要があります。アメリカで、子どもがマシュマロを前にして、食べるのを我慢できるかどうか観察した実験が行われましたが、その後を調査すると、我慢していた子は我慢できなかった子に比べて社会的に成長していたそうです。

ポイントは、「心の持ちよう」と言われています。辛いことがあっても、みんなも頑張っているとか、いろいろな理屈をつけて心の持ちようを変えていくと、自制心、忍耐心が育っていくのです。

他の非認知能力としては、時間はかかっても頑張って「やりぬく力」の大切さが強調されています。今から4年も先の大学入試に向けて目標を設定して頑張るのは、やりぬく力になりますね。