創造が「神わざ」から「人間のわざ」へ
中3の学年テーマは、創造力です。「創」には傷つけるという意味があります。たとえば刀創(とうそう)という言葉を知っているかな。刀でついた傷のことです。創造というのは、何かを傷つけて、それまでになかったようなものを創り出す仕事だと考えられますね。中世のヨーロッパでは、まねをすることは人間のわざ、創造は神のわざ、と言われていました。
キリスト教などの本を読むと出てくる創造主とは、神様のことです。この言葉からも分かるように、かつては創造を人間の仕事とは思っていなかったんですね。
ところが、ある時期から創造は人間がすることだ、しかもかなり大事なことだとみんなが思うようになります。21世紀の社会に生きる君たちは創造する力がとても大事だ、と年中耳にするでしょう?
非認知能力の代表である創造力を伸ばすのに一番分かりやすい方法が、歴史を学ぶことなんですね。今の時代の現象を理解し、こうすればいいというヒントが分かる。歴史には、謎解きのカギが山のようにあるんです。それでは、創造力を一つのキーワードにして、それを身につけるために人々は歴史上どんなことをしたのか、話をしてみたいと思います。
【スクリーンに書物の画像】
これは、『論語』という本です。今から2500年ぐらい前、中国に孔子という人がいました。孔子は「天」という存在がすべての人をコントロールしていて、天の命令の代表的なものが「仁」と考えていました。仁という漢字は二人の人と書くでしょう。人間一人一人が相対して話し合い、社会をつくっていく中で生きる道を見つけるのだという考え方です。