認知症を患う母親を演じ
厄介なのは、一度始めたらやめられない性質だということです。やらないと気がすまないのでルーティンは増える一方。
歯磨きは、歯医者さんに指導された通りに毎回30分かけています。掃除も料理も手抜きができずこの調子ですから、オフの日は身の回りのことだけでほぼ1日が終わってしまうのです。
妹や友だちからは、「時間がゆったり流れているね」とよく言われますが、昔から焦ったり急いだりするのが好きではなくて。だからこれ以上私に何かを始めさせないで~、と切に願っています。(笑)
とはいえ、映画の撮影に入れば仕事第一の生活に。昨年公開された水谷豊監督の映画『太陽とボレロ』では、認知症を患う母親を演じました。
水谷さんとは若い頃にドラマで共演した旧知の仲。「認知症の役だけど、ふみちゃん、やってくれるかな」と遠慮がちにおっしゃったのですが、私は認知症の母を10年ほど見ていましたから、「役作りはバッチリです」と快諾しました。
認知症は何もわからなくなるわけではなく、ときに深い愛があふれ出ることもある。撮影中は、母と過ごした日々を頭に思い浮かべていました。