でも、今私は72歳ですが、まだ寝室は別のままです。というのも、彼の恢復後に行った温泉旅行で気づきました。今のままが一番だと。

宿の部屋は、当たり前ですけどベッドルームは一つしかない。嫌な予感がして、彼がお風呂に入っている隙に、できるだけお互いのベッドを離そうと試みたのですが、重くて動かすのは無理。

寝ようとすると、案の定、夫はスタンドの光を点けて本を読みだした。気を使って光が漏れないようにしてくれていることはわかるものの、ああ、これがストレスなのよと。

朝になったら「君のいびきがすごかった。前はいびきなんかかかなかったのに、立派なおばあちゃんだね」なんて言われてしまうし。思わずキーッとなって、「失礼しました~」と言いながら、寝室を一緒にするなんてありえないなと痛感しました。旅行の時は仕方ないとして、家では自由に過ごしましょうと話し合って決めたのです。

今の暮らしだと、夫が普段何をしているかほとんど把握できませんが、そのほうが楽ですね。相手のことを知りたいがために束縛する妻の心理が理解できません。知らぬが花、なのではないでしょうか?

夫は多趣味で友達もたくさん。バイク仲間やクルーズ仲間とは、しょっちゅう旅をしています。それを聞いても、どうぞ楽しんできて、という感じ。

モノが好きで気になるものがあると徹底的に集めているようです。靴も、サングラスもいっぱい。ムカデじゃないんだから靴はそんなにいらないし、重ねてサングラスをすることもないんだから1個でいいのでは? と思いますけれど。(笑)

目に入ってしまうと、私ならこんなお金の使い方はしないと言いたくもなってしまう。だから見ざる言わざるで。お互いのお財布についても口出ししないことにしています。彼の貯金がいくらあって、どうなっているのかは知らないし、私も彼に伝えていません。

今はコーヒーに凝っていて、いろいろな種類のコーヒー豆を集めているみたい。コーヒーを飲みに来る? と言われて3階へお邪魔したら、コーヒーメーカーやドリップコーヒーの道具、カップが所狭しと並んでいる。いつからここはカフェになったのだろう? と思ったけど、なんだか楽しそう。私が掃除するわけではないのだし、どんどんやってという感じです。