「そもそも眞秀は、舞台に出るのが楽しくて仕方ないみたいで。大きな声でセリフを言って、お客様から拍手をもらうのが快感なんでしょうね」
4歳で、歌舞伎座で初お目見得。以来、歌舞伎公演やドラマ等に出演する寺嶋眞秀さんが、初代尾上眞秀として5月に初舞台を踏むことになった。母である寺島しのぶさんは、いまサポートに徹した日々を送っている。(構成=篠藤ゆり 撮影=木村直軌)

<前編よりつづく

世界の反響に驚いた

息子は物心ついたころから歌舞伎をしょっちゅう見る環境にあったので、自然と真似るようになりました。2歳か3歳で、のら猫を相手に見得を切ったりしていましたね。

歌舞伎は立ち回りや見得などがカッコいいから、子どもにとって真似をして遊ぶのがけっこう楽しいんですよ。私も小さいころは、よく弟の菊之助と歌舞伎ごっこをしていましたし、親が無理やりやらせるのではなく、ごく自然に歌舞伎に馴染んでいくのだと思います。

そもそも眞秀は、舞台に出るのが楽しくて仕方ないみたいで。大きな声でセリフを言って、お客様から拍手をもらうのが快感なんでしょうね。

先日、フランス大使公邸でこの初舞台に関する記者会見をした際も、「今日は緊張していますか?」という質問に、「緊張? していません」と答えていました。肝が据わっているのか、鈍感なのか(笑)。母親の私にはよくわかりませんが、いまのところ、舞台度胸はあるほうなんでしょう。でもいずれ、「舞台は怖いものだ」と身に染みる日がくると思います。