寺島しのぶさん(左)と、息子の寺嶋眞秀さん(右)
4歳で、歌舞伎座で初お目見得。以来、歌舞伎公演やドラマ等に出演する寺嶋眞秀さんが、初代尾上眞秀として5月に初舞台を踏むことになった。母である寺島しのぶさんは、いまサポートに徹した日々を送っている。(構成=篠藤ゆり 撮影=木村直軌)

いまは私のほうが緊張

2023年5月2日から歌舞伎座ではじまる「團菊祭五月大歌舞伎」で、息子の寺嶋眞秀(てらじま・まほろ)が初代尾上眞秀を名乗り初舞台を踏むことになりました。

4歳から歌舞伎座の舞台に立ってはきたものの、主役を勤める今回は本人より私のほうが緊張してしまって……。毎日おろおろドキドキしてしまい、つい息子に小言のひとつも言いたくなるので、「いかん、いかん」と自分をいさめています。

安土桃山時代の剣豪、岩見重太郎(いわみじゅうたろう)は歌舞伎ではお馴染みの人物です。五月大歌舞伎では『音菊眞秀若武者(おとにきくまことのわかむしゃ)』という新作で、眞秀はこの岩見重太郎を演じることになりました。

家族を殺された重太郎が敵を捜す旅に出る。その途中、娘たちを食べるに人々が困っていることを聞きつけ、娘の恰好に化けて狒々に近づき退治をする物語です。立ち役だけでなく女方もある演目となります。