高橋先生いわく、遺伝で決められた「苦手なこと」も努力で克服できる余地があるそうで――(写真提供:Photo AC)
子育ての悩みはつきないもの。ちまたには情報があふれ、「失敗はすべて自分のせい」「あとで後悔したくない」と感じているお母さんやお父さんも多いのではないでしょうか。親にできることは、「生まれてきてくれたわが子の底力を信じて、成長していく姿を楽しみに見守ること。」と語るのは、小児科医として40年間の経験を持つ高橋孝雄さん。その高橋先生は「遺伝で決められた苦手なことも、努力で克服できる余地はある」と言いますが――。

遺伝で決められた「苦手なこと」も、努力で克服できる余地はある

幼稚園、保育園のころは、お友だちとふつうに遊べていたし、お遊戯会や運動会もこなせていた。それなのに小学校に入って教科別の勉強が始まるとつまずいてしまう子どもがいます。

知能が低いというよりは、極端に苦手な科目がある、という場合も多いようです。

「国語の教科書を音読しなさい」と言われても、なかなか文字が追えない。抑揚をつけて読めない。漢字が正しく書けない。足し算や引き算が理解できない。九九が憶えられない。図形が理解できないなど。

おかあさんは、小学校に入ったとたんにわが子にいったい何が起こったのか、とびっくりしてしまいますよね。

しかし、これもあるていどは遺伝子が決めていることなのです。音読ができない、簡単な四則計算ができないとなると「うちの子は頭が悪いの?知能が低いから?」「ほかの子より努力が足りないの?」と考えてしまうかもしれませんが、そうともかぎらないのです。

ここでは、「遺伝子が決めたこと=努力によっては克服できないのであきらめる、放っておく」と早合点してはいけない。それをとくにお伝えしたいと思います。