得意なことを見つけてみる
日本ではディスレクシアを抱えた子どもたちは、小中学校の学習でつまずき、「怠けている」「ふざけている」と学校の先生から誤解されて問題児扱いされることもあるようです。
いっぽう、少しずつ理解が進んで、なかには上手に子どもに力を貸している先生もいるようです。
ディスレクシアの子どもたちのために、読みやすいフォント(文字の形)が開発され、個性に合わせた学習方法も工夫されるようになってきました。
とはいえ、悩んでいるおかあさん、お子さんもまだまだ多いと思います。将来のこと、進路などを考えると、不安はぬぐえないかもしれません。
そんなときには先ほどのハーバード大学の女性教授のエピソードを思い出してください。
たとえ長い文章が読めなくても、医学部の主任教授になり、不治の病と言われた難病を治療する糸口を見つけたのです。
それまでには、葛藤も努力も運も才能もあったと思います。しかし、彼女自身の努力とまわりの人々の協力によって、「読み書きが苦手」という重大な一見、決定的なハンディキャップは見事に克服されていました。
あらかじめ遺伝子が決めたことであっても、それが重大な問題と思えても、運命として受け入れる必要はないのです。弱点に目を奪われずに、優れたところ、得意なことを見つけてみませんか。
もちろん、誰もが彼女のようになれるわけではありませんが、こんな素晴らしいロールモデルがいたことを、今、子育てに悩んでいる両親や自信を失いかけている子どもたちに、ぜひ、お伝えしておきたかったのです。
※本稿は、『小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て』(マガジンハウス)の一部を再編集したものです。
『小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て』(著:高橋孝雄/マガジンハウス)
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