【4】夜にものごとを判断しない

夜の闇は人間の不安を助長するもの。夜中に悩みごとを考え始めると、その悩みが雪だるまのようにどんどん膨れ上がって、誤った判断を下してしまいがちです。しかも、判断するためにさまざまな考えを巡らせると、目が冴えて眠りにつけず、イライラしてしまいます。

心を不要に乱さないためにも、夜の間はできるだけ判断しないように心がけましょう。「夜坐(やざ)」といって、雲水たちは夜も坐禅を組んで、心から雑念を取り払って眠りにつくようにしています。

みなさんも、穏やかな音楽を聴いたり、お気に入りの画集を眺めたり、アロマを焚くなどして、夜は心をしっかり休めましょう。

 

【5】ものを減らす

人間は視覚から得る情報が8割以上と言われています。つまり、目に入るものが多ければ多いほど、心にも雑念が生まれやすいということ。

部屋の中にファッション誌が積まれていたら、「ああ、私もこんな素敵な服がほしい」と誘惑にかられてしまうし、お菓子がたくさん置いてあれば、あれもこれも食べたいと心が惑わされてしまいます。

そのような煩悩に振り回されないように、身の回りのものを減らしていきましょう。

「簡素な生活こそ、美しい」というのが禅の精神です。簡素とは無駄なものを削ぎ落とし、自分にとって本当に必要なものだけを大切に長く使っていくこと。そんな生活が心を磨き、自分にとって何が大切なのかを教えてくれるのです。

 

【6】身近な自然に触れる

 

年々体力や気力が衰えて、シワが増えた顔を鏡で見るたびに憂鬱な気分に襲われる。そんな負の感情を払拭するには、自然に触れることが一番です。公園の木々を見れば、花が咲き誇る春だけが美しいのではなく、秋の見事な紅葉も素晴らしい。

「枯木龍吟(こぼくのりゅうぎん)」という禅語は、「枯れた古木でも、風が吹けば龍が鳴くような音を立てて、自らの存在を示している」という意味です。

人間の場合もこれと同じ。どんな人でも、いくつになっても、ただそこにいるだけで誰かの役に立っている――。自然はそんな真理を私たちに教えてくれます。

毎日10分間だけでも身の回りにある自然に触れて、「あるがまま」をすんなり受け入れられる心を保ちましょう。

 

【7】意識して体を動かす

 

人間は、体を動かしているときは、ものごとを深く考えることができません。100m走を必死にダッシュしているときは、どんな悩みごとも頭に浮かんでこないでしょう。

ですが、現代社会では体を動かす機会が減っている。そのせいで、私たちが抱えるストレスもどんどん大きくなっているのです。動く機会が増えれば、心も穏やかに整います。

禅の修行では「静」が坐禅で、「動」は掃除。私たちは毎朝、スポーツ選手のように汗をかきながら、お寺の境内や廊下を徹底的に掃除する。不思議なもので、そうして掃除を終えると、心までスッキリします。

わざわざスポーツクラブに通う必要もありません。家事や買い物など、日々の生活の中で、意識して体を動かすように心がけましょう。