飲食店はこれまで、バブルの崩壊やリーマンショック、新型コロナウイルス蔓延による営業自粛など、度々逆境にたたされてきました。そんな数ある逆境を乗り越えてきたのは、銀座のクラブのオーナーママとして40年間生きてきた伊藤由美さん。接客の最前線に立ちながら、店の経営にも全面的な責任を持つオーナーママの経営者としての「ビジネス哲学」とは。その伊藤さん「一度『進む』と決めたら、猪突猛進でひたすら前進するのみ」と言いますが――。
猪突猛進でひたすら前進する
銀座で『クラブ由美』を始めて、はや40年の歳月が過ぎました。その間、本当にさまざまな出来事を経験してきました。
もちろん、楽しく充実した日々ばかりではありません。
むしろ大きな壁に直面してピンチに追い込まれたり、時代の流れの波に翻弄されたりと、大変な時期のほうが多かったように思います。
それでも時代の荒波のなか、幾度も災難を経験しながら、また生き馬の目を抜くような競争の激しい銀座で、曲がりなりにも一国一城の主として生きてこられたのは、何よりもお客さま方、店のスタッフや女の子たち、大切な友人など、多くの方の支えがあったからにほかなりません。みなさまには感謝してもしきれません。
さらにもうひとつ40年にわたって店を続けられた理由を挙げるなら、私の「前しか見えない」という持って生まれた性格、性分も影響しているように思っています。
とにかく、一度「進む」と決めたら、猪突猛進でひたすら前進するのみ。
高い壁にぶつかろうと深い谷が迫ってこようと、後退、撤退、様子見などとは考えず、「絶対に越えてみせる」と突き進む。自他ともに認める、これが私の“生きる術(すべ)”です。