子育ては親の覚悟
最近は、小さいひとと会っても、悲しいことが多くなりました。4、5歳ころまでの方はまだ「わあ、かわいいなあ」と思うことがほとんどですが、小学校に上がったころから、急に困った人が多くなるんです。
これはやはり、親が悪い。やっていいことと、やってはいけないことを小さいときに言い聞かせなかったんでしょうね。そういう基本的な公衆道徳は4歳から6歳くらいまでの間に教え込まないと手遅れなんです。
私なぞは、オフクロから「お母さんはあんたの思う通りにはいかないし、外では何事もあんたの思う通りにはいかない」と言われ続けて育ちましたよ。おかげでこんなに我慢強くなった。(笑)
オヤジさんは不思議な人でした。私を天才だと思い込んでいたんですよ(笑)。だから、私が作詞した詞がシンフォニーになって立派なオーケストラで演奏されると報告しに行っても、褒め言葉ひとつないの。ヘンな顔をして「あなたなら当然でしょう。もっとできるでしょう」と言うんです。
ちなみにオヤジは私のことを「あなた」か「嘉明ちやん」と呼びました。呼び捨てにされたり、「あんた」と呼ばれたことは一度もありません。
私の両親は賢くも立派でもなかったけれど、人間としちゃ《イイひと》ってことになるんでしょうね。オヤジもオフクロも、実に私をかわいがってくれた。子育ての要はそこでしょうね。子どもをきちんとかわいがっているか、それが子どもに伝わっているか。そこさえきちんとしていれば、大丈夫。
結局、子育ては親の覚悟次第ですよ。生意気になって、困ったことになっている子どもさんでも、親が命がけで接すれば、その気持ちは必ず伝わります。まあ、まずは、だまされたと思って、「礼儀正しく、ウソをつかずに」という態度で小さいひとにつき合ってみてくださいな。