表立って天下り先を紹介するのは御法度

本省から分離された金融庁は、民間金融機関を監督する立場にあるので受け皿にはなるものの、かつてのように頭取や重役での天下りは望み薄で、戦後間もない49年から財務省の有力OBの指定席だった横浜銀行頭取も今や生え抜きに代わっている。

大蔵省不祥事が残した負のスパイラルが、ますます天下りの道を狭めているのは明らかで、業種を問わず「顧問」の肩書きが得られれば御の字というホンネの声も聞かれる。

不祥事のみならず、政府が導入した天下り規制が現状を一層厳しいものにしているのは容易に想像がつく。

2007年の国家公務員法改正で、現職職員による再就職の斡旋(あっせん)や仲介が禁止されたのをきっかけに、官房長・秘書課長の大臣官房ラインが表立って天下り先を紹介するのが御法度になった影響が大きい。

このため、官僚は退官後、原則的に自力で再就職先を見つけなければならず、以前のようなトコロテン式の天下りは不可能になったのだ。