経産省の当世流天下り事情
ただ、「表立って」とか「原則的に」とか、奥歯にものの挟まったような書き方をしたのは、蛇の道は蛇ではないが、それなりの抜け道がないわけではないからだ。
財務省の中堅幹部が、「業界を抱える経産省のほうが断然有利」と嘆いたように、引く手あまたと言わないまでも、経産省OBはより再就職先を見つけやすい環境にあるように見える。
国家公務員法が改正された後、局長一歩手前の経産キャリアが語った「肩叩き」の一部始終を紹介しよう。
霞が関恒例の夏の人事異動を前にした6月半ば、官房長から呼び出しがかかった。
入省同期の動静などから、本人は「あの話だな」と直感して部屋に赴くと、壊れたテープレコーダーを思わせるように機械的に話を始めた。
「今度の人事で退官してもらうが、君には二つの選択肢がある。一つは(ラインから外れた)スタッフ職として本省に残るか、民間企業に第二の就職先を探すか。まず、どちらを取るか決めてほしい」
ここで言う「スタッフ職」とは、例えば「中小企業庁**研究官」など、調査研究を主な業務にした専門職を指す。定年まで役所のポストに居続けられる制度だ。