相撲から人生を学んできた
関脇・大栄翔は、霧馬山に先場所優勝決定戦で逆転されたが、その悔しさをばねにして、大活躍してほしい。初日の大栄翔は、前頭3枚目・錦富士を押し出した。
初日は、いつも北の富士さんと舞の海さんの解説の攻防を楽しみにしていたが、NHKテレビ実況の佐藤洋之アナウンサーが、「都合により北の富士さんはお休みです」と報告した。その美声での詳しい説明はなかったが、先場所も解説を休場していたので心配である。
そして、残念なのが、前頭2枚目・高安が初日の稽古で怪我をして休場したこと。対戦相手の関脇・豊昇龍は不戦勝となった。さらに、若元春が関脇に昇進して嬉しいが、関脇だった弟の若隆景が先場所の取組で膝を怪我して、小結に番付を落として休場したことが悲しい。若隆景の復帰を祈るばかりである。
若元春の初日の対戦相手は美相撲を取る前頭2枚目・遠藤。最近の相撲は、押し相撲が多いので、「キャー、本格派の四つ相撲だ」と喜んだ。上手投げで若元春が勝ったが、もっと攻防が見たかった。若元春様、遠藤様、四つ相撲に飢えているので、今後もお願いします。
コロナ禍の日本相撲協会のコンプライアンス違反で出場停止になり、大関から三段目まで陥落し、9場所ぶりの再入幕となった前頭14枚目・朝乃山にも目が離せない。初日の朝乃山は圧倒的な強さで前頭13枚目・千代翔馬を寄り切った。勝ち続けると朝乃山は上位力士と当たることになる。元大関同士の正代との対戦が見たい。
興奮しながら見ていたら、肩こりがひどくなってきた。知り合いの鍼灸師の先生が教えてくれた呼吸法をしながら見ることにした。
私は勝敗だけでなく、相撲から人生を学んできた。3歳くらいから相撲は見ていたが、悩み多き中学生時代に大相撲をテレビで見ていて、「土俵の上には人生がある」と確信した。期待された力士が怪我で挫折する。小さな体でも巨漢を倒して優勝する。人気力士でも力士生命が終わる時が来る。このドラマチックな大相撲を見ない人生は絶対に後悔すると思いながら、70年生きてきた自分は、いったい何者なのかと思う今日この頃である。