高齢者が最期まで美しく、尊厳を持って生きられる社会
金曜日の午後には、キリスト教徒のために施設内のチャペルでミサが執り行われます。
毎回、ボランティア団体のメンバーが参列希望者の手を引いたり、車椅子を押したりしながら、上階のチャペルまで誘導しています。
入居者だけでなく、近隣の住人もミサに参列することができます。
そのほかにも毎年恒例のバザーを開催して、入居者やその家族、地域住民との交流をはかってきましたが、今後は施設内の中庭やレクリエーションルームでコンサートやイべントを企画して、さらに地域社会との隔たりをなくしていこうとしています。
老人ホームは、社会生活から除外された高齢者の終の棲家ではなく、町の一部として存在していくことを目指しているためです。
そして地域住民は、入居者120名一人ひとりの最期を温かく見守っているのです。
老人ホームは現代の姥捨て山などと揶揄されることもありますが、ここは高齢者が安心して暮らせるための町の中の共同体なのです。
高齢者一人ひとりが充実した老後を迎え、最期まで尊厳のある生活を送り続けることができるようにフランス政府もさまざまな取り組みをしています。