100歳を超えてもエステで身ぎれいにする老人ホームの方たち

ソシオ・エステティシャンとして老人ホームを訪れ、さまざまな入居者に出会いました。

最初にご予約いただいた方は、80歳のマダムでした。娘さんが予約をしてくださったのです。

体が不自由になって施設に入る前は、ご自分でエステに通っていらしたそう。

「エステティシャンにマッサージしていただくのは、10年ぶりくらい。気持ちよかったわ」と大変喜んでいただきました。

車椅子でお部屋まで戻る途中、「若返って別人みたいですね」「さらにおきれいになりましたね」すれ違う職員さんが立ち止まって、温かいお声をかけてくださいます。

施設内とはいえ、ビューティーサロンに出向くことはちょっとした外出のようなもの。足のご不自由な高齢者を自室に閉じこもりきりにさせないためにも役立っています。

マダムA(97歳)マダムB(95歳)姉妹はお互いに配偶者に先立たれ、今ではお隣同士のお部屋です。

いつも二人ご一緒に行動していらっしゃるので、サロンにもそろってお越しくださいました。

お二人とも一度もエステティックサロンに行ったことがないばかりか、お化粧もしたことがないとのこと。

口紅の色をピンク系にしようかオレンジ系にしようか、それとも赤にしようか迷ったあげく、マダムBがピンク色にすると、マダムAはオレンジ色を選びました。

それぞれご自分の顔を鏡でじっくりご覧になっている様子は微笑ましく、私は自分が生まれて初めてこっそり母の口紅を試したときのことを思い出しました。

なんだか急に大人になった気分だったのを覚えていますが、お二人はどんな気分だったのでしょう。