「当時は周りから〈二兎を追うものは一兎をも得ず〉だと言われましたが、〈いえ、私は二兎を追います!〉なんて偉そうなことを言って(笑)」(撮影:浅井佳代子)
現在発売中の『婦人公論』2023年6月号の表紙は、女優の倍賞千恵子さん。13歳で童謡歌手としてデビューしたあと、いつの間にか映画の世界に魅了されていたという倍賞さん。芝居と歌の両輪でやっていこうと決め、これまで続けてきたそうで……。発売中の本誌から、特別に記事を先行公開いたします。(撮影=浅井佳代子 構成=篠藤ゆり)

芝居と歌の両輪でやっていこうと決めて

映画の撮影は役に入るのでまったく平気ですが、取材で写真を撮られるのは苦手。

でも、今日はリラックスできて楽しかったです。つい撮影の合間に「林檎の木の下で」を歌ったりして。(笑)

13歳の時、童謡歌手としてデビューしました。その後、松竹歌劇団で歌や踊りの魅力を知ったものの、いつの間にか映画の世界にドボンと浸かっていたんです。

芝居と歌の両輪でやっていこうと決めたのは、「下町の太陽」をリリースした時でした。当時は周りから「二兎を追うものは一兎をも得ず」だと言われましたが、「いえ、私は二兎を追います!」なんて偉そうなことを言って。(笑)

60年かけて、やっと一兎得たかなあ。