ネットに「情報」があったとしても

編集 実は技術書でも同人誌がとても人気、という状況があって。

清水 そうそう、技術書の同人誌人気、すごいんですよ。以前、自分の会社で働いていた方が秋葉原で同人誌の販売イベントをやった時も、人が大勢来たせいで入場制限になったほど。こんな薄い本のこんなマニアックな技術、誰が知りたいんだ! みたいな。でも用意した100部とか、すぐ無くなっちゃう。ほかでは絶対買えない本だし。

由井 ウェブサイトだと、なかなか探せない情報なんでしょうね。

清水 ウェブサイトに掲載された情報が正しいとは限らないですし、使うとなれば、あらためて正しいかどうか検証しなければならない。そもそもテクノロジーは、これとこれによる組み合わせは上手くいくけど、こっちとあっちじゃ動かない、というものが多くて。

由井 ネット上ではそれがバラバラに放置されている、ということですね。

清水 もし一つ一つが正しい情報だったとしても、キュレーションしなければ使い物になりません。だからこそ、さきほど話に出てきた「体系立てて揃えられた教授室にある紙の本を継承するべき」という話はとても腑に落ちました。

その3に続く


●その1:とにかくAmazon・メルカリから「距離」を置く。棚貸し書店「PASSAGE by ALL REVIEWS」が切り拓く新しい戦い方とは?

●その3:編集者と出版社の意味が問われる時代にどう「本」を売る?「PASSAGE by ALL REVIEWS」が切り拓く書店の戦い方

●第一回「このままだと本屋さんが無くなりそうだけど、できることは本当にもう無いの?」【赤坂・双子のライオン堂】編

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