四股名を見ただけで応援したくなる
ところで面白い技を見せる前頭4枚目・宇良が、今場所も12日目に翔猿に、幕内では25年ぶりとなる「ずぶねり」で勝った。二人とも手を出して突いたり押したりするうちに宇良の頭が翔猿の左脇に入り、頭を突き上げて、翔猿を土俵に転がした。ずぶねりは漢字で書くと「頭捻り」となり、読める人は少ないと思う。宇良は朝起きた時から、「今日はずぶねりにしよう」と考えたわけではなく、偶然にそうなったと思う。今後も偶然で良いから、珍しい技を見せてほしい。
珍しいといえば、「規格外」と言われている前頭11枚目・北青鵬で、204cmの身長のうえ足が長いので廻しの位置が高くて、廻しを取った対戦相手はやりにくそうだ。北青鵬をイメージした稽古をするなら、稽古相手には胸に廻しをぐるぐる巻いてもらうしかない。北青鵬は8勝6敗。
北青鵬の所属する宮城野部屋には、今年初場所が初土俵で既に十両で強さを発揮している「怪物」と呼ばれる落合がいる。今場所は肩にテーピングをしているが、それを気にすることもなく落合は1敗をキープ。師匠である宮城野親方(元横綱・白鵬)は、とんでもない力士を育てている。
千秋楽では照ノ富士と貴景勝が対戦する。霧馬山対豊昇龍、大栄翔対若元春という関脇同士の対戦も楽しみだ。
千秋楽は、十両の優勝争いも見逃せない。落合と同じく1敗の豪ノ山、2敗に熱海富士がいる。
12日目に熱海富士は湘南乃海と対戦して勝った。その仕切りの時に、熱海富士は水泳のクロールのように両腕を交互に回して気合を入れていた。それが湘南乃海の前だったので、泳いでいるようで実に興味深い姿だった。湘南乃海という四股名を聞くと、サザンオールスターズやチューブの歌を思い出してしまう。湘南乃海は10勝4敗で、名前は剣翔と同じく桃太郎だ。四股名を見ただけで応援したくなる。