宇宙人は全体としてはどのような構造なのか

そして、この逃避の原理にしたがうなら、身体の構造は左右対称でなければ、左右どちらかに弱点ができてしまい、生き残るうえで不利になります。カンブリア紀の大爆発以降の生物が大繁栄をとげたのは、このように身体が「前後」をもち、さらに「左右対称」になったためではないかと考えられるのです。

しかし、これはあくまで地球で進化した生物にかぎっての話です。宇宙にはさまざまな環境の惑星があり、それに合わせてさまざまな身体構造をもった生物がいるはずです。

宇宙人と出会ったときは、まず顔や手足など、目立つ部分に関心が向かうと思いますが、それだけでなく全体としてはどのような構造なのかに注目することも、その宇宙人がどんな環境で進化してきたのかを考えるうえで重要なのです。

ただ、知的生命まで進化する舞台はやはり、地球の陸のような環境に近いような気もします。そうであれば、移動のための足は必須ですし、また、知性の向上には二足歩行して両手を自由にする必要があるでしょうから、やはり地球人のように上下非対称で左右対称になる確率が高そうな気もしています。

とはいえ、想像もできないことが起こるのが宇宙ですから、私からはこれ以上はなんともいえません。

※本稿は、『宇宙人と出会う前に読む本 全宇宙で共通の教養を身につけよう』(講談社)の一部を再編集したものです。


宇宙人と出会う前に読む本 全宇宙で共通の教養を身につけよう』(著:高水裕一/講談社)

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