そんなに上手にはつくれなかったけれど、毎日楽しかった。「やるって言わなければよかった」とは思いませんでした。「今日は何をつくろうかな」と考えるのも好きでした。

具体的に何をつくったか、あまり記憶にないのですが、カレーをよくつくったことは覚えています。私が大好きだったからで、「自分の食べたいものをつくった」のだと思います。他は、ほうれん草のおひたし、かぼちゃの煮物、イワシのしょうが煮、豆腐とわかめの味噌汁など、どれも自分が大好きなものばかりです。

夏休みの自由研究といっても、1ヵ月つくったものをノートに書いただけです。夏休み明けに、家庭科の先生に提出したら、「よくつくったわね。これにカロリー計算が入っていたら、もっとよかった」と言われました。カロリー計算までは考えつきませんでした。

この1ヵ月の経験で、料理の楽しさに目覚めたように思います。

 

高校卒業後、大阪でひとり暮らしをしながら、叔父の会社でタイピストとして働いていました。大家族だったからひとり暮らしに憧れ、自活もしてみたかったのです。

下宿していた部屋の台所は、大家のおばあちゃんと共同。冷蔵庫のない時代です。そんなに上等のおかずはつくれないけれど、時々ちょっと豪華に、ひとりすき焼きをしたことも。夕食はすき焼き、翌日のお弁当に残りを詰めて、さらに、その夜は残った汁でうどんにしていました。

牛肉は奮発したけれど、3食分になったので安上がりかも(笑)。ほとんど具のない汁でつくった3食目のうどんが、一番印象に残っていたりします。

こんなふうに、どうにか工夫して、ひとり暮らしでも食事づくりをしていました。お金はなかったけれど、自分の食べたいものをつくれるので楽しかったですね。