結婚して子どもが生まれてからは、家族のために料理をしていましたが、やっぱり自分の食べたいものを多くつくっていた気がします。

ついこの間、次男から「子どもの頃によく食卓に並んだ、野菜のあんかけがかかったアジの唐揚げは、あんまり好きじゃなかった。お母さんは自分の好きなものばかりをつくっていたよね」と、言われました。

YouTubeでも紹介したメニューで、私が大好きだったもの。魚も野菜も食べられて体に良いからと、せっせとつくっていましたが、まさか苦手だったとは。「大人になった今ではおいしいと思うようになった」と言ってくれましたが、かわいそうなことをしました(笑)。

でも、「自分の食べたいものをつくる」のは、料理をする人の特権ですね。ひとり暮らしの今でも、食べたいものを食べるために料理しています。

 

※本稿は、『88歳ひとり暮らしの 元気をつくる台所』(多良美智子:著/すばる舎)
の一部を再編集したものです。


88歳ひとり暮らしの 元気をつくる台所(多良美智子:著/すばる舎)

12万部のベストセラー『87歳、古い団地で愉しむ ひとりの暮らし』の著者、待望の2作目。 米寿にして溌剌とお元気な美智子さん。その秘密は日々の食事に。
調理師免許を持つ「料理のプロ」でありながら、ベテラン主婦としての知恵とアイデアが凝縮された食事づくり。本書ではそれを大解剖。
また、食べるのが大好きな美智子さんは、食事の時間を心から楽しんでいる。お気に入りの器に盛り、晩酌を欠かさない。豊かな食卓のヒントも。