夢は叶うと信じて
由美ママの銀座物語は18歳の時に幕を開けた。名古屋の進学校に通っていた少女が銀座のクラブへたどり着くまでには、幾つもの偶然が重なったという。
美大を目指す普通の女子高生だったのに、人生って不思議ですね。ある日、林芙美子の『放浪記』を読んで「カフェの女給」という存在を知り、その後、たまたま手にした女性週刊誌で、銀座のクラブで働く女性が取り上げられた記事を見て「これが女給への道」と。
さらに父の書斎で偶然に銀座の「クラブ花」というお店のマッチ箱をみつけ、なんと「そちらで働きたいのですが」と電話をかけていたのです。ほとんど衝動的に。後先のことなど何も考えず…。この時の経験から、偶然というのは導きのことなのだと思っています。
もっとも導きだけで行動を起こしたのかといえば、それがそうでもないのですけれど。実のところ、教育熱心な両親への反発もあり、このままでは敷かれたレールを歩くのが当然で、自由な人生を歩めなくなる不安をおぼえました。とにかく自分の意思で自立して生きていきたいという想いが強かったのです。そのうえ、私は生まれ持っての頑固ちゃんで(笑)、こうと決めたら猪突猛進。周りから「やめておいたほうがいい」と、忠告を受けても、一切聞く耳を持たなかったと思います。あの時の私は夢が叶わなかった時のことなど考えていませんでした。
これは今になって思うことですが、夢は思いっきり大きく描いたほうがいい。そして叶うと信じることが大切なのです。未来のことは何一つ決まっていません。やってみなければわからないのに、自分で無理だと決めてしまうなんてもったいないと思いませんか?
よく「運命に翻弄された」という言い方をしますが、それは他力本願な人の言い訳だという気がします。運命は自分で拓いていくものだと思うのです。それにしても当時の私は怖いもの知らずだったなと、今更ながらにハラハラしてしまうのですけれど。