「江川さん、西本さんはプロ入り前からあこがれの存在」(川口)

川口 プロでは打席に立ったことがありますし、確かに江川さんはすごいと思ったけど、それより西本聖さん(元巨人ほか)のシュートがえげつなかった。頭のところから、大きなカーブみたいにストライクゾーンに入ってきましたからね(西本さんは右腕、川口さんは左打席)。シュートってこんなに曲がるの! っていうくらいでした。俺は西本さんにしよう! 江川さん、西本さんはプロ入り前からあこがれの存在でしたしね。

定岡 俺が目の前にいるのに、江川、西本の話ばかりだな!

『昭和ドロップ!』(著:定岡正二・篠塚和典・川口和久・槙原寛己/ベースボール・マガジン社)

川口 サダさんも2人と同じ巨人を支えた先発三本柱ですもんね。でも、サダさんがすごかったのはスライダーだけじゃないですか(笑)。

定岡 おいおい、お前ももう少し先輩をリスペクトしろって! 

篠塚 いいんじゃないですか。それが『昭和ドロップ!』だし(笑)。

定岡 じゃあ、打席に立って一番「うわあ!」って思ったピッチャーは誰だった? 

槙原 「うわあ!」がなんだか分かりませんが(笑)、僕はいないですね。だって、ピッチャー相手に、みんな真剣に投げてこないから。

定岡 そりゃ、お前が打てないからだよ。俺には内角の厳しいとこにもちゃんと投げてきたよ。

槙原 サダさんと僕じゃ、そんなに打率は変わらないんじゃないですか。

──通算打率を見ると、定岡さんが.149、槙原さんが.107、川口さんが.161です。

定岡 ほら! 同じ1割台でも結構違うぞ。でもグッチが一番か。ちょっと悔しいな。

川口 打つのも好きでしたからね。3割近く打った年もありましたよ(1994年.293)。

定岡 また自慢入れてきたな(笑)。

川口 体感というなら、シノさん、俺と同学年の小松辰雄(元中日。1978年入団)の若手時代の球はどうでしたか。彼は150キロ超えをバンバン出して、球場に設置され始めた“スピードガンの申し子”と言われてましたよね。

篠塚 速かったよ。ドラゴンズだと与田剛(1990年の新人王)も速かったな。

川口 俺の後輩で、カープの津田恒実はどうでしたか(炎のストッパーと呼ばれた剛腕)。巨人相手だと球速がアップしていた気がします。

篠塚 彼も速かったね。ケンカ腰で投げてきたし、いいピッチャーだったな。

槙原 速さで言えば、阪神の藤川球児もいます。分かっていても打てないストレートでした。