図書館におけるクラウン対決の勝敗は
2階に戻るときにちらっと見えた子どもの本のコーナーには、ピエロまで来ていて、子どもたちにマジックを見せていた。仮設テントよりよっぽど人を集め、盛り上がっている。
「クラウンだ! マミー、クラウンがいるよ! 」
玄関から入ってきた幼児がそう叫び、母親の手を引っ張るようにして子どもの本のコーナーに走って行った。ふと、カタカナにすれば、どっちも「クラウン」だなと思った。道化の「CLOWN」と、王冠の「CROWN」と。
ブライトンの図書館におけるクラウン対決は、気の毒なぐらいはっきりと軍配が上がっていた。ビールが全然売れていない仮設テントのドリンクスタンドの店員が、じっとこちらを見ながら大きな欠伸をしていた。