退院させて実家で看病することに
『ピエタ』の公演が無事終わり、一段落したら、家族や親戚と過ごす時間も大切にしたいと思っています。実は昨年末、母を見送りました。80代半ばでした。
腰椎を圧迫骨折して救急車で運ばれたんですが、その時の病院の対応が納得のいくものではなくて……。姉が怒りで震えているのを見て、「ここは私が」と思い、担当医とお話しして母を退院させました。それからしばらくは、一緒に外出もできたのですが、今度は脳梗塞で倒れ、また同じ病院に運ばれて……。
母は以前、上あごの腫瘍切除の手術を受けており、特殊な入れ歯を使っていました。でもそれを外されてしまい、食べることも話すこともできなくなってしまって。姉が何度も「つけてあげてください」とお願いしても、聞いてもらえませんでした。2週間何も口にできず、栄養は点滴のみ。
母の尊厳を守りたい一心で、姉と相談し、退院させて実家で看病することにしました。在宅医療の先生を探して来てもらいましたが、2週間も口を動かさなかったせいで、嚥下ができなくなっていて。本人が胃ろうや延命措置はしてほしくないというので、点滴で栄養を補給しながら、見守り続けました。
退院してから見送るまでの約1ヵ月間、毎日、叔母や姪っ子、姪の子どもたちなど、たくさんの人が母に会いに来てくれて。私もその間は仕事をほとんど入れず、姉と交替で母に付き添い、夜は母と一緒に過ごしました。
姉もみんなも、朗らかに、献身的に介護をしてくれる。その様子を見ながら、この人たちに何かあったら、私がお世話したいなぁと感じたんです。母が住んでいた家は、今、誰も住んでいないので、落ち着いたらちょっと手を入れてみんなが集まれる場所にしたい。私も、いつでも帰れるようにしたいです。
<後略>
このほか、舞台『ピエタ』への熱い思いや小泉さん自身のひとりの老後プランなど、本誌では5ページに及ぶインタビューを掲載。
小泉今日子さんの記事が掲載されている『婦人公論』7月号は現在発売中です!
●小泉今日子さんがプロデュース・主演を務める舞台『ピエタ』が、東京・本多劇場(7/27~8/6)、愛知(8/9、10)、富山(8/19、20)、岐阜(8/26)で上演予定
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