血圧の高さが、即座に病気というわけではない

もともと、年をとれば血圧が多少高くなるのは当然のこと。60代や70代になれば、血圧が150や160あるのが普通で、昔からそうやってみんな生きてきた。

しかし、若者も老人も一緒くたにして血圧の正常値を決めているため、日本ではある程度の年齢になれば、みんな高血圧だということになってしまう。

もちろん、血圧があまりに高すぎれば、脳卒中など循環器系の病気のリスクは高まるが、「血圧が高い」ということそれ自体が、即座に病気というわけではないのだ。

それなのに、日本では正常とされる数値を少しでも超えると、すぐに薬で値を下げようとする。まだ病気にかかったわけでもないのに、患者を薬漬けにしてしまうのである。

たとえると、家の土台がまだ悪くなっていないのに、将来雨漏りするとか、白アリの温床になるなどとリスクをことさら強調して、無理にリフォームをさせるのと同じことだ。私が日本の医者のことを「リフォーム詐欺師」と呼ぶゆえんである。

●血圧が高いことそれ自体は病気ではない
『50歳の分岐点――差がつく「思秋期」の過ごし方』(著:和田秀樹/大和書房)