テイオーの血統の個性

トウカイテイオーにはマイリージャン3×5のクロスもあります。マイリージャンは仏ダービー馬トゥルビヨンにさかのぼるヘロド系の傍系で、この父系ではフランスでリュティエが、日本ではパーソロンがリーディングサイアーとなりました。

トウカイテイオーのしなやかな体質や長い繋(つなぎ)を利した美しいフォームは父シンボリルドルフと比べても独特で、これらフランス血脈特有の柔らかさを感じさせるものです。

トウカイテイオーの育成をずっと手がけていた二風谷軽種馬育成センターの岡元場長(当時)にお聞きしたところでも、ストライドの大きさが他馬と全く違うので乗っていて時計の感覚が掴みづらかったとか、虻を追い払うときに信じられない可動域で回し蹴りを見せたとか、とにかく体の柔らかさは群を抜いていたようです。

産駒には「緩さ」や「故障の多さ」として伝わってしまうことも多かったのですが、それも含めてテイオーの血統の個性と言うべきでしょう。

今でもパドックを歩くロバートソンキーを見ると、牝系由来の柔らかさが感じられて、オールドファンは当時のトウカイテイオーの歩きと重ねてしまうのです。

(血統評論家 望田潤)

※本稿は、『トウカイテイオー伝説 日本競馬の常識を覆した不屈の帝王』(星海社)の一部を再編集したものです。


トウカイテイオー伝説 日本競馬の常識を覆した不屈の帝王』(著:小川隆行・ウマフリ/星海社)

通算成績12戦9勝。成績だけを見ると父の七冠には及ばずも、3度の骨折を経験しながら復活を遂げた姿は、見るものに大きな感動を与えた。美しい流星と静かな瞳を持つ、この不屈の名馬が駆けぬけた栄光と挫折のドラマを振り返る。