(写真提供◎越乃さん 以下すべて)
2024年に110周年を迎える宝塚歌劇団。再演を重ねる名作『ベルサイユのばら』をはじめ、話題のインド映画をモチーフにした『RRR×TAKA“R”AZUKA ルートビーム』や、超有名ゲームの世界をもとにした『FINAL FANTASY XV1(16)』の上演が予定されています。初の公演が大正3年(1914年)、進化し続ける「タカラヅカ」には「花・月・雪・星・宙」5つの組が存在します。そのなかで各組の生徒たちをまとめ、引っ張っていく存在が「組長」。史上最年少で月組の組長を務めた越乃リュウさんが、宝塚時代の思い出や学び、日常を綴ります。第51回は「宝塚の芸名」のお話です。
(写真提供◎越乃さん 以下すべて)

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宝塚の芸名の由来いろいろ

宝塚を退団して10年。
最近の宝塚に、若干「浦島太郎」状態です。
古巣の月組でさえ、誰が誰だかわかりません。

組長時代、月組の組子80人の顔と名前は全員覚えていました。
新しく月組に入ってくる新入生約10人の顔と名前を覚えるのに、
顔と名前の表を作って覚えたりもしていました。

名前に「舞」が入っている人はダンスが得意なんだろうかとか、
「音」が入ってる人は歌が得意なんだろうかとか、
芸名からその人の人物像を想像したりもしていました。

宝塚の芸名は、古風なものから、こうきたか!というようなひねったものまで、
ありとあらゆる華やかな字面が並びます。
タカラジェンヌの数だけ、芸名にもドラマがあります。
「こんなふうになりたい」「こんなふうに思われたい」「こんな人になってほしい」
付けた人の願いが芸名にはこもっています。

昔は百人一首から取られていたという宝塚の芸名。
今は「百人一首から取りました」という方はあまりお見かけしなくなりました。

花組のトップスターだった春野寿美礼さんは
万葉集の山部赤人の句
「春の野に すみれ摘みにと こしわれぞ 野を懐かしみ 一夜寝にける」
から付けられたそうです。