絵画部門最優秀賞『きらきらゆらゆら悔いなく自分らしく』 大栗典子(おおぐり・のりこ) さん
がんと告知された時の不安、がんと共に⽣きる決意、そしてがんの経験を通して変化した⽣き⽅など、⾔葉だけでは伝えきれない想いを絵画・写真・絵⼿紙で表現する「場」があります。がんサバイバーの方の思いが詰まった作品を紹介します。

治ったつもりで過ごしていた日常は一変

がんは宣告された時よりも、再発・転移の時の方がショックが大きいといわれます。

私もその通りでした。一昨年、乳がん初発から五年後に多発骨転移が見つかり、背骨から骨盤にかけて無数に光るPET検査の画像を見た時は言葉を失いました。

治ったつもりで過ごしていた日常は一変。悪い方へ悪い方へ病気のことを考えるうち、食欲が失せ体調がどんどん悪くなり、一日中引きこもる日が続きました。

半年ほど経った頃、曽爾高原へ行こうと友達が誘ってくれました。一面が金色銀色に染まった丘は、風が吹くたびにススキが生き物のように右に左に揺れます。体力が落ちて少し歩いても息切れしましたが、きらきらゆらゆらの風景を心ゆくまで楽しめました。