絵手紙部門最優秀賞『看護師達』岡本唯嗣(おかもと・ただつぐ)さん
がんと告知された時の不安、がんと共に⽣きる決意、そしてがんの経験を通して変化した⽣き⽅など、⾔葉だけでは伝えきれない想いを絵画・写真・絵⼿紙で表現する「場」があります。がんサバイバーの方の思いが詰まった作品を紹介します。

幼い頃、命をそまつにしないと思った

昨今、流行の絵手紙はおおらかで、素朴な味があって、それはそれで、面白いと思っていますが、またちがった感じの絵手紙も、あっても、よいと思います。時間をかけて、描くことによって、少しでも長く鑑賞に耐えられる、額縁に入れたくなるようなものに、したいと描いてみました。

小学校低学年の頃、夜中、ふと目が覚めて胸キュンとなったことがよくありました。死んだら、一億年たとうが十億年すぎようが、二度と目が覚めることがない、なにもかも、感じることも、考えることも、ない。その虚無感に胸をいためることがありました。そして、最後には、せめて、生きている間は、どんなことがあっても、命をそまつにしないでようと思いました。

成人してからも、生きていることが、どんなに、貴重でかけがえのないものか十分、わかっていたのに。