絵手紙部門優秀賞『大丈夫』奥村宏美(おくむら・ひろみ)さん
がんと告知された時の不安、がんと共に⽣きる決意、そしてがんの経験を通して変化した⽣き⽅など、⾔葉だけでは伝えきれない想いを絵画・写真・絵⼿紙で表現する「場」があります。がんサバイバーの方の思いが詰まった作品を紹介します。

不安を抱く娘をハグをすることしかできなかった

「母さん母さん旦那が大変なことになった」と、嫁いだ娘から突然連絡が入った令和三年の晩秋の頃、義息子が再生不良性貧血で緊急入院することになりました。主治医からは白血病に進行する恐れもあると言われ、当時娘は生後半年の乳飲み子と小学3年の子を抱え先が見えなかった病名だけに不安を抱く娘を「大丈夫大丈夫」と、ハグをすることしかできませんでした。

令和四年立春の候、三カ月の入院生活を終え無事に退院することができました。コロナ禍でピリピリな日々、医療従事者の方々には感謝しかありません。家族の面会は出来ませんでしたが、無菌室の四角い病室で辛い治療に耐え、日々成長する愛娘を抱くことさえ許されず自分との戦いに頑張ったと思います。