上野「お葬式に行っても知らない人ばかりで、思い出話もできません」

上野 わたしはこれまで、冠婚葬祭のうち「冠婚」はほとんど遠慮してきましたが、「葬」だけはその方とお別れがしたいと思って、都合がつく限り行くようにしていました。

でも年齢とともに痛感するのが、その方のご遺族はわたしとは何の縁もゆかりもないということ。家族ぐるみのつきあいなんてほぼしていないので、ご遺族とは初対面。

上野さん「冠婚葬祭で親戚づきあいが濃密だと、年とってから思わぬ出費が老後の家計を圧迫するという話をよく聞きます」(2017年6月撮影。写真:本社写真部)

そもそも家族がいたの? みたいな関係なので、お葬式に行っても知らない人ばかりで、思い出話もできません。

樋口 これは実話ですけれど、葬儀場って一日に10組くらい同じ時間にお葬式をやるでしょう? 女学生時代の友人が亡くなったので行ったものの、彼女の旧姓は覚えているんだけれど、新姓を忘れちゃっていて。

せめて写真で見つけようと思ったんだけど、今の写真なものだから、ついにわからずに帰ってきた、という話があります(笑)。