(イラスト:大野博美)

うつに陥り苦しんだが本来の自分に戻れた

その後の離婚劇はあっという間だった。私の身内は、全員一致で離婚に賛成。どうやら私の話を聞くまでもなく、私の親戚関係の冠婚葬祭に出席したときなどの、夫の横柄な態度や言動にみな苦々しい気持ちを抱いていたようだ。夫は私の親戚にも「結婚し直すつもりだ」と言っていたらしい。

慌てたのは当然ながら、夫の家族だ。両親とも息子のそんな姿はまるで知らず、一流大学を出て一流企業に勤めている自慢の息子が、家事もろくにできない嫁から離婚を切り出されるなど、とうてい理解できるはずがない。青天の霹靂だったろう。

しかし結局、夫は離婚を受け入れ、両家の両親とともに会うことになった。東京の喫茶店での待ち合わせの段取りをつけたのは私。4年も体調不良に苦しんでいたが、離婚が決まったとたん、すっかり元気に。

もともと高校時代は生徒会長も務めた私である。ハキハキと発言もするし、テキパキと体も動く。そんな私を見て、彼のお母さんは、「ずいぶん変わったね」と目を丸くしていたが、本来の私に戻っただけなのだ。

その場で財産分与の話になり、彼に念書を書いてもらう。白い紙を前にした彼は、手がプルプルと震えて字が書けない。上手な字を書く人なのに、線が波打ってゆがんだ文字が並んだ。