佐藤「会話について私は、いつでもウェルカムなんです。」

安東 現実的には、どんな選択肢がありますか?

佐藤 子どもは転校したくないと言っていて。同じ学区内で引っ越すにしても、通学班の変更やら、それをいちいち説明するのも面倒だなと思う気持ちがあります。経済的なこともそうですし。夫は「この家は俺のものだから、お前が出ていけばいい」と。現実的ではないことはわかっているんですが……。

『夫は、妻は、わかってない。- 夫婦リカバリーの作法 -』(著:安東秀海/SYNCHRONOUS BOOKS)

安東 感情的なやり取りの中で、「俺のもの」「出ていけば」とあるようですが、ご自宅の名義がご主人のものでも婚姻後に購入されたものであれば、財産分与の対象になるでしょうし、ちょっと衝動的な表現かなとも思います。勢いや言葉どおりに受け取ってお子さんと現在のご自宅に住むことを早々に諦める必要はないと思います。

離婚は合意がなければ簡単には成立しません。裁判に進んでいった場合にセックスレスは、「婚姻を継続し難い重大な事由」と認められることはありますが、現在のような状況で、即離婚に同意しなければならないということはありません。ただ、会話がないことや、夫婦の関係がこじれていることに関して、ご主人が限界だと感じているということは理解してあげる必要がありますね。

彼の状況を理解してあげるということと婚姻関係を終わらせていくということは、ひとまず分けて考えた方がいいと思います。その上で、りえさんが対話するだけのモチベーションがなくなってしまっていることも考えられますが、そのあたりはいかがでしょうか?

佐藤 会話について私は、いつでもウェルカムなんです。