まずは相手を理解しようという姿勢が第一歩

安東 夫婦関係を改善することが、すべてではないですからね。今はそこに時間とエネルギーをこれ以上かけられない、というのもひとつの選択だと思います。ただ、もし時間とエネルギーをかけられるなら、改善の余地は十分あるように感じています。

もし夫婦関係のことに取り組んでいこうとするならば、まず必要なのは“彼を理解すること”だと思います。

いろんな経緯があることはちょっと横に置いて、ご主人のストーリーで考えてみると、「仕事を一生懸命やっている。特段、遊んでいるわけでもない。子どものことにも参加している。なのに、どうして俺、こんなに嫌われなきゃいけないんだろう」だったりするのかもしれません。あるいは「こんなに俺を嫌っている人と一緒に暮らすのも、さすがにしんどいな」とか。

ご主人が離婚を言い出したのは「会話もない」「受け入れてもらえない」「なんか嫌われている」と感じているからでしょう。つまり、ご主人のアテンションはりえさんに向いているんだと思うんです。ご主人を理解したり、承認してあげることができると、「こんなひどい扱いをされていると思って落ち込んでいたけれど、ちょっと違うかもしれない」と思って沼から抜け出してくるかもしれないですよね。

佐藤 抜け出してくれるといいです。

安東 「いつまでも沼にハマってないで、そこから出てください」と手を差し伸べるイメージで。

もし夫婦での対話や再構築に取り組まれて、りえさんがリーダーシップを発揮しようとするなら、その状態にまず自分を整える必要はあります。

佐藤 なるほど。

安東 でもね、ここでは「今までこんなに頑張ってきたのに、さらにここからもうひと踏ん張りしなきゃいけないんですか」という気持ちになるのも自然なことです。

佐藤 あ、それ今思ってました。

安東 なので、やっぱり無理、という選択肢があってもまったく問題ないと思います。

※本稿は、『夫は、妻は、わかってない。- 夫婦リカバリーの作法 -』(SYNCHRONOUS BOOKS)の一部を再編集したものです。


夫は、妻は、わかってない。- 夫婦リカバリーの作法 -』(著:安東秀海/SYNCHRONOUS BOOKS)

「なんで結婚したんだろう……」
「夫に、妻に、腹が立って仕方がない!」
「なんであの夫婦は仲がいいのに、うちはこんなにしんどいんだろう」

結婚生活を続けるうちについ不満が溜まる。果てに不倫や不仲が発覚して、どうにもならないところまできてしまう……。そんなとき、多くの夫婦は諦めるか、別れるかといった究極の選択をしがちだ。

やっぱり夫婦はあきらめるべきなのだろうか……?

本書では、長年夫婦で「夫婦カウンセリング」を行い、2000組の話を聞いてきた、LifeDesignLaboの安東秀海先生がその解決策を紹介していく。

不倫、セックスレス、借金から「夫が嫌いになった」といった感情の課題まで。

9つの代表的なカウンセリング事例とを紹介しながら、自分の人生との向き合い方を提示する、自分を大事にできる一冊。