安東さん「まずは相手を理解しようという姿勢が第一歩」(写真提供:Photo AC)
結婚生活のなかで不満が蓄積、果てに不倫や不仲が発覚し、どうにもならない……。そんなとき、多くの夫婦は諦めるか、別れるかといった究極の選択をしがちです。夫婦カウンセラーの安東秀海さんは、不倫やセックスレス等様々な問題を抱える夫婦を2000組以上サポートしてきました。カウンセリング事例をもとに、夫婦の、そして自分の人生との向き合い方を提示しています。安東さんいわく「まずは相手を理解しようという姿勢が第一歩」だそうで――。
相談内容
仕事の忙しい夫とは、ほとんど会話がなく、長い間、仮面夫婦だという。ある時、突然セックスを迫ってきた夫を拒否したら、数日後、離婚届を突きつけられた。今は、いつでも離婚したい気持ちと、現実的に難しいと思う気持ちとで揺れている。経済的に余裕があればいつでも家を出たいし、別居するのが一番良い選択ではないかと考えている。
相談者
佐藤りえさん(仮名)
夫は40歳、外資系金融勤務。妻は38歳の専業主婦。結婚11年目。小学3年生の息子を持つ3人家族。

離婚したい気持ちと難しいという思いで揺れている

安東 ご主人から離婚を迫られたということですが、詳しくお聞きできますか?

佐藤りえさん(以下、敬称略) 私たち、もう長いこと仮面夫婦で。産後から夫婦関係は悪化していて、私の側には、ワンオペで色々と不満があったり、そもそものコミュニケーション不足だったりで恨みつらみはたくさんあります。現在では会話は必要最低限ですし、寝室も別にしています。

それが先日、夫が突然私の寝室に入ってきてセックスを迫ってきて。突然のことだったので、私も動揺して「やめて!」と叫んで拒否しました。そしたら数日後、夫から離婚届を突きつけられました。それからは些細なことで、突然怒り出したりもします。今の私の気持ちとしては、いつでも離婚したい気持ちと、現実的に難しいと思う気持ちとで揺れていて……。

安東 それ以降は、どのように過ごしているんですか?

佐藤 つい最近、親戚の結婚式があったんです。家から一歩外に出ると、本当に仮面夫婦だなと思うんですけど、そういう場では普通に何事もなく話すことができました。

安東 なるほど。今、ご自身としてはどんなお気持ちですか?

佐藤 正直なところを言うと、実家が裕福だったら今すぐに家を出たいです。

安東 経済的に安定性があれば、ということですね。

佐藤 そうです。子どもがまだ小さいので、働くにしても祖父母の協力が要りますし。もう別居するのが、私たち夫婦にとって一番良い選択なのかなと思っています。