安東さん「信じられないのは傷ついているから」(写真提供:Photo AC)
結婚生活のなかで不満が蓄積、果てに不倫や不仲が発覚し、どうにもならない……。そんなとき、多くの夫婦は諦めるか、別れるかといった究極の選択をしがちです。夫婦カウンセラーの安東秀海さんは、不倫やセックスレス等様々な問題を抱える夫婦を2000組以上サポートしてきました。カウンセリング事例をもとに、夫婦の、そして自分の人生との向き合い方を提示しています。安東さんいわく「信じられないのは傷ついているから」だそうで――。
相談内容
ご主人の長年の不倫が発覚。ご主人は相手の方とはすでに別れており、全面降伏しているが、奥様の心の傷が癒えていない。今でもあまり眠れず、食欲もない状態が続いている。「このままでは妻が病気になるのでは」と心配した夫が妻とともにカウンセリングに。
相談者
小野直樹さん・葵さんご夫婦(仮名)
夫は43歳の経営者。妻は38歳で専業主婦。12歳の長男と5歳の息子の4人家族。

不倫の痛みがケアされていない妻

安東 ご相談は直樹さんの不倫、ということですがこのことについて、これまでどの程度お話をされていますか?

小野直樹さん(以下、敬称略) そうですね、かなり話をしていると思います。妻が不倫に気づいたのが3か月ほど前で、それからはほぼ毎日何かしらの話はしてますね。

安東 毎日ですか? それはどんなことをお話されてきたんですか?

直樹 はじめの頃は、どうしてそうなったか、とか、どんな相手なのか、とか。妻に問いただされる感じで。もちろん僕が悪いんで仕方ないんですが、何度も同じ話をしてましたね。

小野葵さん(以下、敬称略) それはあなたが、はじめから全部話さないからじゃない!

直樹 そうだね、でもさ正直細かいことは覚えてなかったからさ、いちいちひとつひとつ聞かれても答えられないことがあっただけでさ。

 そうやって自分は悪くないって話し方するでしょ? 覚えてなかったんじゃなくて言いたくなかったからじゃない。何度も同じ話って言うけど、全然違うからね!