安東「感情に時間軸はありません。」

安東 まずは傷ついた心をケアする必要があると思います。これからのことを考えたり、話し合ったり、信頼関係を再構築するのはそれからでも大丈夫です。

直樹 私もそう思うんです。早く立ち直ってもらいたいです。

 またそんなこと。私だってこんな気持でずっといたいわけじゃないんだから。

安東 そうですね。直樹さんの立場からすると、早く関係を改善したいですよね。でも、ここは葵さんのペースに沿って進めていくことが大事です。だから「早く」というのはNGです。あと、「立ち直ってもらいたい」もどこか他人事に聞こえてしまうので避けた方がいいですね。

直樹 そうなんですか?!

安東 はい。心が傷ついている、というとわかりにくいかもしれませんが、身体に置き換えてみるとわかりやすいかもしれません。たとえば、足を骨折してしまっている状態、と考えてみてください。そんな時に「早く走れるようになって」とはあまり言わないんじゃないでしょうか? 「まずは傷を治して、それからリハビリもして。ゆっくり焦らずにね」となりませんか?

直樹 確かに。でも、不倫がわかってから3か月も経ちますし、もう不倫関係も解消しているわけですし。それでも早くって思ってはダメですか?

安東 はい。なぜなら、心の傷は身体の傷と違って、時間が経てば回復して、痛みも薄れるとは限らないからです。よくお話をすることですが、感情に時間軸はありません。それが3か月前に起こった出来事であっても、思い出して辛かったり悲しかったりするのは「今」なんです。そこにある痛みは時間が経っても変わらないか、むしろ強くなることもあるんです。

 そうなんだよ。あなたは、終わったことをいつまでも引きずらないでって思うかもしれないけど、引きずってるんじゃなくて終わってないの。

※本稿は、『夫は、妻は、わかってない。- 夫婦リカバリーの作法 -』(SYNCHRONOUS BOOKS)の一部を再編集したものです。


夫は、妻は、わかってない。- 夫婦リカバリーの作法 -』(著:安東秀海/SYNCHRONOUS BOOKS)

「なんで結婚したんだろう……」
「夫に、妻に、腹が立って仕方がない!」
「なんであの夫婦は仲がいいのに、うちはこんなにしんどいんだろう」

結婚生活を続けるうちについ不満が溜まる。果てに不倫や不仲が発覚して、どうにもならないところまできてしまう……。そんなとき、多くの夫婦は諦めるか、別れるかといった究極の選択をしがちだ。

やっぱり夫婦はあきらめるべきなのだろうか……?

本書では、長年夫婦で「夫婦カウンセリング」を行い、2000組の話を聞いてきた、LifeDesignLaboの安東秀海先生がその解決策を紹介していく。

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