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貧困家庭に生まれ、いじめや不登校を経験しながらも奨学金で高校、大学に進学、上京して書くという仕事についたヒオカさん。現在もアルバイトを続けながら、「無いものにされる痛みに想像力を」をモットーにライターとして活動をしている。ヒオカさんの父は定職に就くことも、人と関係を築くこともできなかったそうで、苦しんでいる姿を見るたび、胸が痛かったという。第46回は「無形の支援について」です。

知識や文化という無形の支援

貧困問題を知って、何かしたいと思ったときに何ができるかという質問を受けることがよくある。寄付は少額からできるし、理念に共感できるものがあったら応援することもとても大事だと思う。そして寄付などの直接的な支援以外にも、できることがたくさんあると私は思っている。

私自身、嬉しかったのが、知識や文化という無形のものをもらったことだ。貧困とは、衣食住という物質的な貧しさだけでなく、「情報や文化的な豊かさ」が乏しいことでもある。この社会では制度や仕組みを知らないだけで、損をすることがたくさんある。例えば、入院したり手術を受けた際、高額医療費制度や医療費控除などの制度を知っているかどうかで大きな違いが出てくる。

「そんなことは知っていて当然だろう」と思う人もいるだろうが、教えてもらえるわけでもないので基本的な制度さえ知らない人はいる。「知っていて当たり前」の範疇は意外に大きく個人差がある。自分にとっては当たり前の情報でも、他者にとっては驚きであり、有益だったりする。

私は入院した時、大部屋が空いていなくて2人部屋に入ることになり、1泊2日でベットの差額8000円を請求されて支払った。この体験を記事に書いたところ、病院都合の場合は差額代は払わなくていいという情報がたくさん寄せられた。一旦は請求されるが「病院都合だから払わなくていいですよね?」と一言言えば請求されないのだと言う。逆に、言わなければそのまま支払わされるというわけ。

預金残高もわずかで、8000円はなけなしのお金をはたいたものだった。この知識が当時あれば、どれだけ救われただろうかと思うと悔しくて仕方がない。こういうことはたくさんある。他にも、大学の入学金の納付は、遅れれば合格取り消しになるので人生を左右する大きな問題。入学金は奨学金の支給より前に納めなければいけない。大学に相談すれば分割にしてもらえたり、待ってくれることもあるという。この知識があるかどうかで、負担も大きく変わってくるだろう。

情報が溢れている時代とは言え、有益で重要な情報は向こうからはやってきてくれない。困窮している人に「いろんな救済制度があるのに使わないほうが悪い」という意見もある。情報を探すのはとても労力がいることで、今日を生きるのに精一杯の人にはなかなか難しい。比較的余裕のある人ほど、情報を捕まえるのが上手かったりする。だから、情報をシェアすることは、お金や物をあげるのと同等か、それ以上の価値があるのだと思う。お金のリテラシーは自分で身に着けるのはなかなか難しい。どんな保険に入るべきか、節税はどうすればいいか、などの知識をシェアしてもらうことは、大きな財産になる。