生活を少し豊かにする術

思えば、私が格安シェアハウス生活から抜け出せたのも、周囲がお金に関する知識をシェアしてくれたからだ。家賃は収入の1/3に抑えたほうがいい、初期費用はこれくらいかかる、とはいえ東京で安全に暮らすなら家賃は×万円を下ってはいけない、など色々計算して教えてくれて、踏み切れない私の背中を押してくれた。その結果一人暮らしの安定した住居を得て、生活は随分落ち着いた。

お金をかけるべき家具や家電の情報も、私にとっては大きかった。例えばワークチェアや寝具はいいものにしたほうがいい。最初はケチってしまって、結果腰や首が痛くなって大変だった。一日のうち長くいる空間にはお金をかけたほうが結果的には医療費も抑えられるしQOLが上がると聞き、思い切っていい椅子を買ったら、確かに腰痛がかなり軽減された。また、いいものは壊れにくく保証期間も長いので、安いものを買ってすぐ壊すより長期的に見れば得をする。寝具も、いいマットレスを買うことで、身体が楽になった。

さらに、私がもらったのは、情報や知識だけではなく、生活に彩りを加え、少し豊かにする術だと思う。美味しいカフェやお土産。無料のイベントや体験講座。そういうことを教えてもらうことで、少し生活は豊かになる。また、色んな人からお土産をもらって、もらうと嬉しい手土産がどういうものか、少し分かるようになり、人と会う時は何かささやかなものを持っていくようになった。

 

『死にそうだけど生きてます』(著:ヒオカ/CCCメディアハウス)