ケアマネージャーのまりあちゃんを待つ時間
父がデイサービスに行っていた日に、私は札幌市から車で2時間弱ほどの、美唄市で仕事をしていた。デイサービスの看護師さんから電話が来たのは、お昼過ぎだった。
普段は高血圧の投薬を受けている父が、最高血圧が60しかないというので、心配で気が気でない。父のその後の体調を気にしながら、夕方ようやく札幌の家に着いた。
父はデイサービスの人に送られて先に帰宅していたが、相変わらず食欲はなく、起きているのもきつそうな様子だ。前回(本欄の21回)は、そこまで書かせてもらった。
翌日、6月10日の夕方は、介護事業所のケアマネージャーの訪問が予定されていた。午前中のうちに私はケアマネ―ジャーに電話をかけた。
「今日お見えになる前に、お話しておきたいことがありまして…‥最近父は、すごく弱ってきました」
そう前置きしてから、食欲の低下が著しく、昼間もほとんどベッドでうつらうつらしていることと、前日デイサービスで体調を崩したことを伝えると、ケアマネージャーは驚いた様子だ。
「先月お会いした時は、5月の連休に遊びに来たひ孫さんの写真を見せてくれて、みんなでおそばを食べに行ったと、楽しそうに話してくれていたのに…‥まず、伺った時に状態を見させていただきますね」
私は昼過ぎから父のベッドの横で、父が興味のありそうな新聞記事を読んだり、私の仕事の近況報告をしたりした。午後の時間がゆるやかに流れていった。
ベッドから起き上がらない父に、ストローを使って冷たい麦茶を飲ませると、「ありがとう」と言ってくれた。素直な態度を取ってくれると、私も優しく接することができる。
「朝から顔を洗っていないでしょう? 温かいタオルで拭こうか? 今日ケアマネージャーさんが来るから、きれいにしなくちゃね」
父の目がキラッと輝いた。
「え? まりあちゃんが来るのか? じゃあ、顔を拭いてもらうかな。髭剃りも持って来てくれ」