真面目すぎるキャラが逆に強みに
寄席の高座でよく掛けているネタとしての鳴きまねは30くらい。動物園イベントなど、珍しい鳴き声をお届けしやすいステージで披露した鳴きまねなら、80以上あるでしょうか。
フクロテナガザル(左写真)やアルパカ、ヌーなどマニアックな動物の声を話芸につなげていく。それが私の持ち味の一つだと思っています。全国各地の動物園の飼育員さんとのご縁、動物のおかげで今の私があります。
ただ、勉強したことを真面目に伝えるだけでは、もちろん芸にはなりません。そもそも祖父のようなお茶目な色気も、父みたいな舞台をパッと明るくする華も持ち合わせていないことが、長らく自分のコンプレックスでした。もし私が小猫を襲名してから、「二代目はダメだね」という声が多く聞こえてきたら、潔く暖簾を下ろす覚悟もできていました。
しかしいざ始めてみると、この真面目な雰囲気に独特の面白みがあるし、聞いたことのない動物の鳴きまねにも妙に説得力が出ると、嬉しい感想をいただけて。あれ?もしかしてコンプレックスに感じていたことこそが、自分にしかない強烈な武器なのかも、と。そこに気づいてからは、この仕事がどんどん好きになっていきました。