亡くなった人を思い出す

私は若い時から、寝る前に自分と関わりがあって今はもう亡くなってしまった人たちのことを思い出す習慣があります。祖父母に友人、学校の恩師に私に影響を与えた表現者たち。

自分が飼っていたペットたちのことも、金魚やミドリガメに至るまで「その節は寂しい私に寄り添ってくれてありがとう」と感謝をしつつ、彼らのことを思い出しています。という話を息子にしたところ、彼もまた日常的に亡くなった人々を頭の中に思い浮かべていると言うのです。

『CARPE DIEM 今この瞬間を生きて』(著:ヤマザキマリ/エクスナレッジ)

「あの世があるかなんて分からないけどさ、でもこうやって想像の中だけでもちゃんとコミュニケーションを取っていれば、いつかあの世に行った時、迎え入れて貰えそうな気がする」というのが彼の弁ですが、親子で似たようなことを考えていたとは、と不思議な気持ちになったものです。

あの世がなかったとしても、生きている時分に亡くなってしまった人たちと想像力で接触できるのはなかなか楽しいことでもありますし、寿命と死というものを当たり前のものとして受け入れることがより一層楽になります。