101歳の長寿を全うした生活評論家、吉沢久子さんが日々の生活のなかで見つけた「幸せに生きる方法」「暮らしのアイデア」「簡単に作れるおいしい料理」は今の時代を生きる上でもヒントがいっぱい。エッセイ集『100歳の100の知恵』(中央公論新社)から吉沢さんの極意を1つずつ紹介します。

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『〈できないこと〉を受け入れる』

私は家事評論家として、仕事で料理を作り、デモンストレーションもしていました。

しかし50代に入ってから、たとえば人前で鰺の頭をスパッと落とそうとして一気に切れなかったり、ときどき固いものが切りにくいなと感じるようになりました。

若い頃より筋力が落ち、包丁さばきが鈍くなってきたのです。
 

もうこれからは人前で仕事として料理を披露するのはやめようと決めました(写真提供:photo AC)

 

そこで50代半ば頃、もうこれからは人前で仕事として料理を披露するのはやめようと決めました。自分が理想とする仕事のやり方ができないなら、スパッとやめよう。その代わり、違う仕事のやり方を探せばいいと、パッと切り替えたのです。

力がなくなったら、生のカボチャはうまく切れません。だったら、ちょっと電子レンジにかけてからカボチャを切ればいい。そんなふうに、どう暮らしを便利にしていくかということに興味が移っていきました。

できないことや、衰えてきたことにしがみつくよりは、今の自分にできることを探す。

そういう習慣を身につけておいたおかげで、歳を重ねて日々衰えを実感するようになっても、鬱々とすることなく笑って生きていられるのだと思います。

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